教育課程と新学習指導要領 ─ 小学校を中心に─ 分析メモ

研究室の課題で興味ある分野の論文を3つ読んで来いと言われました。

Google Scholar で「洗脳」と検索したところ、「すべての教育は『洗脳』である」というホリエモンの本がヒットしました。まさにそれが読みたい!と思ったのですが、本なので中身が見れませんでした。引用元 3と書いてあったのでそのリンクに飛ぶと「教育課程と新学習指導要領: 小学校を中心に」という論文がありました。

学習指導要領に興味があったのでこの論文を読んでみました。

内容の要約

はじめに

この論文では、新しい教え方を従来の教え方と見比べ、特徴をまとめます。

教育課程とは

カリキュラム

「カリキュラム」という言葉は3つに分類される。

  1. 国・学校が定めたカリキュラム
  2. 先生が実際に行うカリキュラム
  3. 生徒が達成したカリキュラム

教育課程とはだいたい①のことをいう。

隠れたカリキュラム(大事)

私たちが学校で学んだのは①、②だけか?

→否

学校生活により自然に学習する 「④隠れたカリキュラム」 が存在する。

①②③は目に見える「顕在的カリキュラム」である。

要するにカリキュラムは,学習者が意図的にも無意図的にも達成した全ての内容を包括できる概念であるため,狭義の教育課程ではすくい取れない教育のリアリティを浮き彫りにしてくれる装置(めがね)となる。

隠れたカリキュラム
  • 自然に伝達される知識,行動様式,思考様式,価値観などのこと
  • 「ものの見方や考え方などに非意図的、不可視的に影響を及ぼし、方向付ける機能」を持つ

人間は様々な事柄をひとりでに学習(適応)してしまう動物である。

子どもは学校という環境にいれられた時、「それなりに」「そのように」「そのようなふりをして」生きていかなければならない。いわゆる学校生活への適応が求められる。

しかし、この集団生活には「顕在的カリキュラム」の裏に「隠れたカリキュラム」という目に見えない暗黙の「おきて(ルール)」、慣習がある。

隠れたカリキュラムの構成要素
  • 学校の校風
  • 教室の雰囲気
  • 教師や子どもたちを取り囲む人間関係
  • 言葉遣いや身振り
  • しぐさ
  • 作法や構え

    といった無言の言語,さらに
  • 学校建築や施設といった物理的環境
  • 空気

とりわけ「場」の雰囲気とか気分とかいうようなものを重んじる日本の文化において,その「空気」を読めるか読めないかは生涯に渡って死活問題だといってよい。それができないと場が「しらけて」しまう。

→契約に基づく個人主義を前提に成り立つ欧米文化との大きな違い

最大の問題(日本の文化とのズレ)

最大の問題は「顕在的カリキュラム」という,表向きでは欧米の個人や社会を前提にして①や②が組織され実践されているという制度的タテマエにある。教員は,どこまでもこのタテマエしか語れない雰囲気と気分のなかに置かれている。

例:「いじめはなかった」というような公式答弁(台詞)

同様の事柄は日本のどのような組織においても常に繰り返される。多くの者は,それが「うそ」であることを知っているにもかかわらず。つまり,これが島国である日本の「空気」であり,日本の文化という大きな「隠れたカリキュラム」─暗黙の価値観─が背後には控えているのだ 。

教育学的教養が必要不可欠

「隠れたカリキュラム」による負の側面_いじめや過労死_はあるが、より良い校風とか伝統とかいう日本的なものを蔑ろにしてはいけない。

「隠れたカリキュラム」に対する意識的な注意が「顕在的カリキュラム」を真に命あるものにするためにも教育関係者には必要かつ不可欠である。この自覚こそが「教育学的教養」である。

教育学的「教養」とは,真の教育者にとって①を源泉にして②をよりよく展開するための必須の嗜みであるといえよう。

新学習指導要領の前提にあるもの

カリキュラムには2系統ある。

  • 系統主義: 大人や社会を中心としたカリキュラム
  • 経験主義: 子どもや子どもの世界を中心にしたカリキュラム

教育史上、系統主義が取られてきた。

横断カリキュラム

複数の教科で類似した内容を同時期に学習させることで教科間の関連づけを図る「関連カリキュラム」の拡張版。

道徳教育においてこれを実施し、人間性、道徳性を育むことが新学習指導要領の要点の1つ。

新学習指導要領の特徴

学校教育は「生きる力」の育成にあるとされる点は変わりないが,この「生きる力」がより明確にされた。

「生きることへの喜び」を形成するための知・徳・体の教育のための授業改善への強い意欲

終わりに

発表レジュメ

冬野研 2020/4/15(水) 芸情3年 1ds17416m 桑村直弥

「教育課程と新学習指導要領: 小学校を中心に」、菱刈晃夫、初等教育論集、2018

1. 教育課程とは

  • 「カリキュラム」:意図して教えるもの
  • その裏に「隠れたカリキュラム」が存在する。(暗黙のルール、人間関係など)
  • 教育者は隠れたカリキュラムの存在を意識しなければならない。
    →「教育学的教養

2. 新学習指導要領の前提にあるカリキュラム

予備知識の紹介

  • 大きく2系統のカリキュラムがある。(大人中心・子ども中心)
  • 「横断カリキュラム」:同時期に教科間で類似した内容を学習する →道徳に適用
  • 新学習指導要領「人間性を育む道徳教育を根っこにして改革を進めましょう。」

3. 新学習指導要領の特徴

①授業改善を通じて②「資質・能力」を育成し、③生きる力を育む。

  1. 「見方・考え方」を作動させるプロセス重視の学習を充実化
  2. 「資質・能力」は「知識及び技能(学んだ力)」「思考力、判断力、表現力等(学ぶ力)」「学びに向かう力、人間性等(学ぼうとする力)」の3つからなる。
    全ての教科等の目標及び内容を三つの柱で再整理

おわりに

  • 隠れたカリキュラムの悪しき側面が改善されない限り、この教育課程の大改革も真に生かされては来ないし、世の中も良くはならない。
  • 意識的なカリキュラムの裏の「隠れたカリキュラム」の存在に自覚的である「教育学的教養」が教育者たちには必要。
コメント

教員って大変。

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